第八回 障害者総合支援法(1) 総説

障害者総合支援法は障害を持っている人が、社会の中で日々自立して生きるために必要な支援について定めた法律で、その支援は可能な限り自分が暮らしている地域で受けられることを目指しています。この法律にもとづき、介護や支援、日常生活についての相談事だけでなく、居住、就労の相談など自立にむけた支援が行われます。どのような支援を受けることができるのか知っておくことは親だけでなく、きょうだい児やヤングケアラーにとっても大切な情報です。

障害者総合支援法とは?

障害者総合支援法は「障害者自立支援法」を改正する形で、2013年4月に施行され、その後ほぼ3年ごとに福祉サービスの内容について改正されています。

障害者総合支援法 第一条 目的

条文の中で、この法律ができた目的として「障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに、障害の有無にかかわらず、国民がお互いに人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする」と述べられています。
すなわち、障害のある人もない人も地域社会で一緒に安心して暮らすとともに障害を持つ人が自立した生活を送れるように、この法律に基づいて日常生活や社会生活の困りごとに対して必要な支援を行っていくことが目的とされています。

障害者総合支援法 第一条の二 基本理念

支援に当たっての基本的理念として以下のことが必要であると述べられています。
➀日常生活又は社会生活に必要な支援は可能な限り、住んでいる地域で受けられること
社会参加の機会が確保されること
③どこで誰と生活するかの選択ができ、地域社会で他の人々と共生することを妨げられないこと
生活を営む上で障壁となる事物、制度、慣行などが除かれること

障害者総合支援法はどのように改正されてきたか?

福祉サービスの内容についての初めての改正は2018年に行われ、その後2021年、2024年に改正が行われました。改正は支援の質を向上させ、ひとり一人の希望に沿った支援ができる方向に少しずつ進められています。

(1)2018年の改正

就労の継続に必要な連絡調整などを行う「就労定着支援」、施設入所支援等を利用していた者の居宅生活に関して定期訪問・随時対応により相談を行う「自立生活援助」を新設するとともに、入院時などにおける重度訪問介護を可能とし、低所得の高齢障害者が介護サービスを受ける際の利用者負担の軽減などひとり一人の要望に沿った支援を行うために必要な改正が行われました。

(2)2021年の改正

新型コロナウイルス感染の拡大を受けて、事業所の感染症対策やインターネットなどを利用し在宅や遠隔でも受けられる支援についての改正が行われました。

(3)2024年の改正

グループホームなど家族と離れて一人暮らしを希望する障害者への支援・退去後の相談などを明確化、障害者の就労機会を拡大するため、就労アセスメントを用いた「就労選択支援」の創設、就労中の障害者に対する就労系障害福祉サービスの一時利用の提供,難病患者や小児慢性特定疾患の子どもに対する適切な医療と療養生活支援など障害者の自立した生活と社会参加の機会を確保することを目的とした改正が行われました。

障害者総合支援法の対象となる人

障害者総合支援法は障害児(者)と一部の指定された難病がある人が対象者となります。

(1)18歳以上の障害者

身体障害、知的障害、精神障害(発達障害者も含む)を持つ人々が含まれます。原則として障害者手帳を持つ人が対象ですが、持っていない場合でも支援が必要と認められれば利用できます。

(2)18歳未満の障害児

身体・知的・精神に障害のある子どもも対象になります。特に発達障害をもつ子どもが対象になったことは大きな進展と言えます。

(3)難病患者

障害者総合支援法で指定された難病で日常生活や社会生活に制限がある人々が対象となります。 令和7年4月からは、対象となる難病が369疾病から376疾病に拡大されました。

障害者総合支援法の支援を利用するための障害支援区分

障害者総合支援法による福祉サービス=自立支援給付と地域生活支援事業の2本柱

障害者総合支援法で受けることができる福祉サービスは、大きく自立支援給付地域生活支援事業の2つに分けられます。これらのサービスは必要に応じて組み合わせて利用できます。

自立支援給付

介護や訓練、就職支援など障害のある一人ひとりの自立を促すためのサービスで障害者一人ひとりに支給されます。

地域生活支援事業

地域で生活していくために必要なサービスで、市区町村や都道府県が状況に応じて柔軟に行なっていきます。

自立支援給付

障害者総合支援法の自立支援は、主に介護の支援を受ける「介護給付」、自立訓練。就労のための訓練、自立生活の訓練などを行う「訓練等給付」、医療費の支援である「自立支援医療制度」などがあり、これらの制度を組み合わせて利用することができます。また、日常生活で必要な車椅子など、自立に必要な器具の購入費や修理費の一部が自治体から支給されます。給付には、主に介護の支援を受ける「介護給付」、自立訓練。就労のための訓練、自立生活の訓練などを行う「訓練等給付」、医療費の支援である「自立支援医療制度」などがあり、これらの制度を組み合わせて利用することができます。また、日常生活で必要な車椅子など、自立に必要な器具の購入費や修理費の一部が自治体から支給されます。

地域生活支援事業

地域生活支援事業は、障害を持つ人が自分の住み慣れた地域で、自立して日常生活や社会参加を行うための支援サービスです。事業は主に地域の実情をよく知っている市区町村や都道府県によって行なわれます。自治体によって地域の状況に応じた施策ができるように内容に違いがあります。また、市区町村と都道府県が連携して多様な支援を行うことで、地域社会全体の福祉に対する考え方など福祉レベルが向上します。
この事業は、単なる福祉政策に留まらず、地域の中で社会の一員としての誰もが支え合う仕組みを構築するための基盤となり、その意識を高めるのに役立つと思われます。

【市区町村事業】

障害のある人などからの相談に対して、必要な福祉サービスの案内や手続き、虐待の防止や権利擁護に必要な援助などを行います。また、自立支援のための協議会を設置し地域の相談支援体制を整えていきます。

基幹相談支援センターは地域における中核的な役割を担う相談支援の総合的な窓口として、上記の相談支援や生活の困りごと相談、成年後見制度の利用相談などを行います。

成年後見制度利用支援事業

知的障害・精神障害・認知症があり、自分の財産の管理、相続手続き、介護・福祉サービスの契約などの手続きを一人で行うのがむずかしい人を法的に保護し本人の意思を尊重した支援(意思決定支援)を行い、一緒に考えていくのが成年後見制度です。成年後見制度の利用に要する費用について補助が必要であると 認められる場合に成年後見制度の申立てに要する経費及び後見人等の報酬の全部又は一部を助成する事業です。

聴覚や視覚などに障害がある人に手話通訳や要約筆記、点訳等を行える人を派遣します。

自立生活に必要な電動ベッド、移動支援用具、吸入器や吸引器など日常生活用具の給付や貸与を行います。

屋外での移動が困難な人について、外出のための支援を行います。

障害のある方に創作的活動、生産活動、社会交流などの活動の機会を作り社会とのつながりを促していきます。

【都道府県事業】

発達障害、高次脳機能障害など専門性の高い障害の相談、必要な情報提供等を行ないます。都道府県相談支援体制整備事業など市町村域を超えて広域的な支援が必要な事業を行ないます。

さいごに

 私たちは、みんな年を取って病気や認知症などによって、心身に何らかの障害を持ち、自分一人だけではで生きていくことができなくなります。
そしていずれ、誰かの世話が必要になります。
それでも多くの方が、生きている間は住み慣れた地域と人との絆の中で生きていきたいと思われると思います。子どもの頃から慣れ親しんだ風景は心に沁みついています。
次回からのコラムは、主な自立支援給付や地域生活支援事業など受けることができるそれぞれの支援の内容について、お話ししていきたいと思います。

ではまた。   Byばぁばみちこ