第十回 障害者総合支援法(3) 共同生活援助 (グループホーム)

障害者総合支援法では障害者の支援において社会参加の機会が保障されること、そしてどこで誰と生活するかを選択できること、地域社会で他の人々と共生することを妨げられないことが基本的理念としてあげられています。これを実現するための一つとして、自立支援給付の中の居住支援に共同生活援助(グループホーム)と言う福祉サービスがあります。
共同生活援助(グループホーム)とは?
障害のある人が施設や病院ではなく、日常生活に必要な支援を受けながら地域で暮らすための福祉サービスのひとつが、共同生活援助(通称:グループホーム)です。一つのホーム当たりの利用者は少人数で、それぞれが自分の個室で暮らしながら、共有のスペースで一緒にご飯を食べ、団らんを過ごすというスタイルをとっています。
利用者が必要とする生活の援助は日常生活を支える支援員と呼ばれる人が行い、本人の力をひき出しながら無理のない範囲で「自立した暮らし」へとつなげます。グループホームが必要とされる背景には、誰もが地域で暮らし続けられるように「施設から地域へ」という国の政策の転換があります。
また、親が高齢化していく中で、「親なき後」に障害者がどう生活していくのかという待ったなしの問題や障害者自身の「自分の暮らしは自分で決めたい」という声の高まりによって、本人主体の生活を支援する手段として、グループホームが非常に重要視されるようになってきました。
令和5年度の全国グループホーム実態調査によれば、回答のあった1,382事業所のグループホームの数は5,811ホーム、利用者数は30,532人で、平成30年度に比べ約7.5%程度増加しています。
共同生活援助の運営主体
共同生活援助の運営は国や自治体そのものが行っているのではなく、地域で活動している福祉事業所や法人です。多くは社会福祉法人やNPO法人、医療法人で、最近では民間企業も参入するようになり、多様な運営母体がサービスを提供しています。令和5年度の全国グループホーム実態調査では、回答のあった1,382事業者のうち約95%は社会福祉法人の運営となっています。
事業者は都道府県や市区町村の指定を受けることによって正式に障害福祉サービス事業を行うことができます。運営には一定の人員配置や設備要件があり、それらを満たすことが必要です。また、それぞれの事業所によって支援の方針やサービスには違いがあります。
共同生活援助を利用できる対象者
共同生活援助は、知的障害、精神障害、肢体不自由、視覚障害、聴覚障害などの障害があり日常生活で継続的な支援が必要と認められる人や国の指定する難病により常に見守りや援助が必要な人が利用できます。
年齢制限と特例措置
原則として18歳以上の障害者が利用できますが、児童相談所や福祉事務所が必要であると認めた場合には例外として15歳以上で利用できます。また、65歳以上の人については、65歳未満で障害福祉サービスをすでに利用していたことのある人以外は原則として新規の利用はできません。
障害支援区分の取り扱いと障害者手帳の必要性
グループホームなどの居住支援は訓練等給付に含まれ、介護給付と違って制度上は障害支援区分の認定は原則不要で区分が「非該当」でも利用ができますが、それぞれのホームによって利用できる障害区分が違います。また、利用において、必ずしも障害者手帳が必須ではありませんが、自治体によっては手帳の所持を求められることもあり確認が必要です。

共同生活援助で受けることのできる支援内容
➀日常生活の介助と家事支援
食事、掃除、洗濯などの家事はできるだけ本人が行い、難しいところを補って支援を行います。
②健康管理と服薬支援
体調の変化に注意し病院やクリニックとの連携を行います。また、服薬などの管理を行います。
③生活相談と助言
生活の中の悩みや不安の相談に応じ、どうすれば問題が解決できるか一緒に考えます。
④日中活動や就労への支援
日中は作業所や福祉施設に通う人、趣味や活動に取り組む人など様々です。生活のリズムを整え社会とつながるために本人に合った活動が選べるよう考えていきます。
また、就労を目指す人には、就労移行支援事業所などとも連携しながら就労に向けて履歴書の書き方や面接練習、職場体験などの支援が行われます。
⑤金銭管理と生活設計のサポート
お金の使い方は大事な生活能力の一つです。障害のある人の中には、お金の管理がうまく行かず衝動的な支出をすることがありますので日々のお金の使い方を支援します。また、必要に応じて成年後見制度など、本人の意思を尊重しながら無理のない範囲での支援が行われます。
⑥社会参加と余暇活動の支援
地域のお祭りなどの行事やボランティア活動、趣味を通じた交流など、無理のない範囲で社会参加ができるように支援が行われています。
⑦緊急時対応と安全管理
予期せぬトラブルや体調不良、災害などに対しや避難訓練の実施や夜間のスタッフ配置などが行われています。

共同生活援助の運営形態と特徴
グループホームには、その人の障害の状態や生活目標に合わせていくつかの形態があります。令和5年度の全国グルーブホーム実態調査によれば、回答のあった5,811のグループホームのうち約90%(5,298カ所)は介護サービス包括型です。また、外部サービス利用型は342(6%)、日中サービス支援型は171(3%)となっています
介護サービス包括型
幅広い年齢層のさまざまな障害を持っている人に対応しており、多様なニーズに対して総合的な支援を提供しており、重度の障害があっても安心して暮らせます。支援員が常駐しているため、身体的なケアをはじめとして、体調の見守り、服薬管理など生活全般の相談対応が受けられます。
このタイプのグループホームは本人だけでなく、家族の身体的精神的な負担の軽減にもつながります。
外部サービス利用型
介助の必要が少なく、ある程度自立した生活ができる人に向いているグループホームで、必要な時だけ外部の福祉サービスを利用しながら生活する仕組みです。このタイプのホームでは支援員は常には配置されていないか、夜間だけといった限られた時間帯での支援になることが多く、障害者自身にある程度の生活能力が求められます。
日中サービス支援型
今までのグループホームは、日中には外部の通所施設などへ通うことを前提としていましたが、重度の障害や高齢の利用者、医療的なケアが必要で頻繁に外出が難しい方のために、日中もホーム内で支援が継続できるようになっているものです。
朝から晩まで支援員が常駐しており、食事、排泄や入浴だけでなく、レクリエーション活動など、日中の過ごし方も含めた総合的な支援が提供されます。
サテライト型
このタイプは、将来的に一人暮らしを目指す方の「準備ステージ」としての意味合いを持っています。通常のグループホームの本体とは別に、近くのアパートやマンションなどを個別の住居として使用しながら、必要な支援だけを近隣の本体ホームから受けるスタイルです。つまり、生活のほとんどは自分でこなしながら、定期的に職員と面談でき、何か困ったときには電話や訪問で助けを求めることができる生活で、“支援付き一人暮らし”とも呼べる形態です。

共同生活援助の利用手続き
➀市区町村の障害福祉課などへの相談
居住地の市区町村役所または福祉事務所の障害福祉課へ相談し説明を受けます。
②障害支援区分の認定申請
グループホームの利用には原則区分認定は不要ですが、事業所によってどれくらいの支援が必要かについて障害支援区分の認定が必要な場合があります。
その際には市の認定を担当する調査員が日常生活にどれだけ支援が必要かの聞き取りを行い、「医師の意見書」も合わせて自治体が1〜6までの支援区分を決定します
③サービス等利用計画案の作成
支援区分が決まったら、自分が望んでいる生活をまとめた「サービス等利用計画案」を作ります。これは相談支援事業所の相談支援専門員が一緒に作成しますが、本人や家族が自力でつくる「セルフプラン」でも構いません。
④支給決定と受給者証の交付
計画案は市区町村で審査され問題がなければ支給が決定され、「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。
⑤グループホームの選定と見学
⑥利用契約の締結・入居
サービス内容・利用料・支援体制・緊急時の対応などが書かれた契約書に納得できたら署名・捺印を行い、正式な契約が成立します。

共同生活援助の費用と負担額
障害福祉サービス利用料の負担額と区分
生活保護世帯、市町村民税非課税世帯は負担がありません。それ以外は原則として利用料の1割を自己負担することになっており、世帯の所得に応じて月ごとの上限額が決められています。
生活実費(食費・光熱費・日用品費など)
日々の暮らしにかかる食費、光熱費、消耗品費などは自費です。
初期費用(敷金・礼金・入居一時金)、家賃と家賃補助制度
共同生活援助では原則としてこれらの初期費用は発生しませんが、毎月の家賃は必要で賃貸契約となります。家賃は施設によって差があり、経済的に困難な方に向けた家賃補助制度も存在します。
共同生活援助を利用するメリット
➀自立支援と生活スキルの向上
グループホームでは、入居者の「できる力」を少しずつ育てていくことが目的で、将来の一人暮らしや就労へステップにもつながります。
②孤独感の軽減とコミュニケーションの促進
③経済的負担が予測でき生活が安定
利用者の経済状況に応じて負担額が決まっており、賃や光熱費、食費などは施設ごとに設定されているため、生活費の管理がしやすく安定した生活を送ることができます
④家族の介護負担の軽減と「親なき後」への備え
家族、特に親が日常的な介護の負担から解放されるとともに、親が亡くなった後の本人の生活の道筋をつけることにつながります。
⑤地域社会とのつながりと社会参加の機会
地域のイベントへの参加や近所の店への買い物など自然に地域社会との関わりが生まれます。
⑥将来の一人暮らしへのステップアップ
将来的に一人生活を希望している人にとっては生活全般の支援を受けながら生活に必要な能力を身につけることができます。
共同生活援助(グループホーム)を利用するデメリット
➀共同生活に伴う人間関係のストレス
自閉スペクトラム症や発達障害の特性を持つ人には、生活していく上でのすれ違いが大きなストレスとなることがあります。
②施設のルールや規則への適応の必要性
自由度の高い生活を望む人にとっては施設の生活スケジュールなど不満を感じることもあります。
③家族との距離が広がることによる寂しさや不安
④他の利用者とのトラブルの可能性
多様な背景や障害を持つ人が同じ空間で生活するため、日常のささいな場面でトラブルが起こる可能性があります。
さいごに
障害の有無にかかわらず、自分らしく生きたいと思うのはすべての人の望みです。グループホームに住む場合、自分自身の希望と同時に障害特性に適した支援が受けられるかどうかが大切です。
建物内部の設備だけでなく、その立地や周辺環境、通所施設などへのアクセスが良いかなどは毎日生活していく上で大切です。また、何より支援を行うスタッフとの相性は最も大切です。
そして、グループホームが自分にとっての第二の家になったら最高ですね。

ではまた。Byばぁばみちこ

