第九回 障害者総合支援法(2) 介護給付、就労支援

 障害者総合支援法で受けることができる福祉サービスには自立支援給付地域生活支援事業(第八回 障害者総合支援法(1)総説を参照ください)があります。

 自立支援給付は障害者一人ひとりの障害に合わせて支給される福祉サービスで、中心となる福祉サービスは介護給付費訓練等給付費です。これらのサービスは介護や訓練を受けながら自立を目指すことを目的としています。特に就労支援は報酬だけでなく生きがいにもつながります。

障害者総合支援法の自立支援給付に基づく9つの介護給付

 障害者総合支援法の第5条に介護給付によって受けることができる福祉サービスの内容が定められています。このうち、比較的多く利用されている介護給付は、生活介護、居宅介護、行動援護、短期入所です。

①居宅介護(ホームヘルプ) 第5条第2項

 障害者の自宅を訪問して入浴、排泄や食事の世話などの身体介護、家事援助、通院など生活全般にわたる援助を行うサービスです。

②重度訪問介護 第5条第3項

 重度訪問介護の対象となるのは「重度の肢体不自由や知的障害、精神障害のために行動が著しく困難で常に介護を要する障害者」とされています。これらの障害者に対して、入浴、排泄や食事等の介護、家事並びに生活等に関する相談や援助、外出時の介護など自宅や外出時も含めて長時間の支援を行います。

③同行援護 5条第4項

 視覚障害があり移動が著しく困難な障害者等に対して、外出時に同行して排泄及び食事等の介護など必要な援助を行います。また同時に必要な情報提供や声による案内や誘導を行います。

④行動援護 第5条第5項

 強度行動障害や知的障害などによって行動が著しく困難で、常に介護を要する障害者に対し、危険を回避するために必要な援護、排泄や食事等介助など外出時に必要な介護を行います。

⑤療養介護 第5条第6項

 日常生活の介護とともに呼吸器管理や経管栄養などの医療的ケアが常に必要な重度の障害がある人を対象とした障害福祉サービスです。病院や重症心身障害児施設で、主に日中のリハビリとともに医療的ケアや日常生活上の世話を行うものです。療養介護は医療的ケアが必要な障害者が長期的に安心して生活を続けるために不可欠なサービスです。

⑥生活介護 第5条第7項

 常時介護を要する障害者に対して障害者支援施設等で、入浴や排泄及び食事等の介護、家事や必要な日常生活上の支援に加えて、創作的活動や生産活動とともに身体機能又は生活能力の向上のために必要な支援を行います。

⑦短期入所 第5条第8項

 介護を行う家族の病気やレスパイトのために、障害者支援施設等へ短期間入所(ショートステイ)する際に入浴、排泄や食事の介護などの必要な支援を行うサービスです。

⑧重度障害者等包括支援 第5条第9項

 重度障害とは、常時介護を要する寝たきりの障害者や知的障害、精神障害により行動上著しい困難を有する者で、これらの障害者に対し障害福祉サービスを包括的に提供する支援サービスです。
提供される障害福祉サービスの内容は自立支援給付で提供されるサービスの全てが含まれます。

⑨施設入所支援 5条第10項

 施設入所支援は暮らしの場そのものを提供し、24時間体制で生活全般を支えるサービスです。
 生活介護を受けている障害者が、入所しながら日中は機能訓練などの自立訓練やB型就労継続支援を受けることができ、入浴排泄又は食事の介護その他日常生活の介護等を受けることができます。

障害者総合支援法の自立支援給付に基づく4つの就労支援

 就労支援は障害者総合支援法に基づく福祉サービスで、一般の企業で働くのが難しい障害のある人に働く場を提供し、働く上で必要な知識や能力を身につけ、訓練などを行うものです。本人の知識や能力によって、①就労移行支援 ②就労定着支援 ③就労継続支援A型 ④就労継続支援B型の4つの支援サービスがあります。

➀就労移行支援

 一般の企業への就職を希望していて、それが可能と思われる障害者が対象で、利用開始時に65歳未満で就職に必要な知識・スキルを学ぶための訓練と就職活動の支援を行います。

 利用期間は24ケ月以内で、利用者ごとの個別支援計画に基づき通所している事業所内で作業の準備訓練を行います。その後、職場実習、職場訪問を行って就職後の職場への定着を支援します。

② 就労定着支援

 生活介護、自立訓練、就労移行支援や継続支援を利用して一般就労をした障害のある人で、就職後に生活面・就業面の課題が生じている場合に対象となります。

 3年を上限とし、障害者との相談を通じて問題点を把握し、企業や関係機関等との調整や課題解決に向けて必要な支援を行います。

③就労継続支援A型(雇用型)

 A型事業所は、現状では一般企業での就労は困難でも、雇用契約に基づいた就労が可能な人を対象としています。サービスの利用開始時65歳未満の人で利用期限はありません。

 データ入力やWEB制作、レストランでの接客、お菓子の製造販売など、仕事の内容は事業所によって様々です。障害に対する支援体制が整った環境で働けます。一般就労に必要な知識・能力が身に着けば一般就労への移行に向けて支援を行っていきます。

④就労継続支援B型(非雇用型)

 雇用契約を結んで一般企業で働くことが難しい障害のある人に対して「働く場」を提供するものです。比較的短時間の軽作業を通じて生活リズムを整え、働くために必要な能力を身につけていきます。週1日や1日1時間からの利用が可能で、自分の体調に合わせて調整ができます。

 通所により、就労や生産活動の機会や社会参加の場を提供し、知識や能力が身に着けば一般就労への移行支援を行います。年齢制限がないので、高齢の方も利用可能です。

就労継続支援事業所の平均賃金(工賃)の推移

 就労継続支援A型事業所は給料と言う形で賃金を受け取ります。年ごとの推移をみると少しずつは増えていますが令和6年度は9,1451円でした。B型事業所は仕事の成果は「工賃」という形で報酬を受け取りますが、最低賃金の適用がないため、A型事業所の給与と比べるとかなり少なくなります。工賃の金額は、各事業所の収益や生産活動の内容によって異なります。令和6年から工賃の算定方法が変更になりましたが、令和6年度の平均の工賃は24,141円と報告されています。

就労選択支援事業 自分に合った就労先や働き方を見つける

 令和7年10月から障害福祉サービスに「就労選択支援事業」が始まりました。これにより新たに就労継続支援B型事業所を利用する場合には原則として事前に1カ月の就労選択支援を利用することが必要になります。

 体調や生活状況だけでなく、本人のスキルや希望や得意なことなどの情報を聞き、関係機関と一緒に就労に向けてのプランを検討し、一般就労、就労移行支援、A型事業所、B型事業所など様々な選択肢の中から、自分の希望に沿った進路を選んでいきます。この事業は自己の理解を深め、自分の思いに沿った仕事を選ぶことが目的です。

介護給付、訓練等給付サービスを受けるための手続き

➀相談 ②支給申請
 自分に必要なサービスとサービスを受けることのできる指定事業者・施設についての相談や情報、申請の受付は各区役所の福祉課で行っています。受けたいサービスが決まったら申請書を提出します。
③ サービス等利用計画案(セルフプラン)の作成
 障害福祉サービスを利用するには、「サービス等利用計画案」を作成して、区福祉課へ提出する必要があります。この利用計画案は本人や家族、支援者が作成することもできますが、指定特定相談支援事業所と計画相談支援の契約を結び、作成したほうがスムーズに進みます。
 指定特定相談支援事業所の相談支援専門員が訪問調査の結果をもとに、障害の状況や利用したい障害福祉サービスの希望を聞き取り、サービス等利用計画案を作成します。
④支給決定
介護給付を希望する場合 
 認定調査の結果や医師意見書などによる審査会での審査を踏まえ、障害支援区分(区分1から6)の認定を行い、サービス利用の希望などを踏まえて支給決定を行い、受給者証を交付します。
訓練等給付を希望する場合
 認定調査を行いサービス利用の希望などを踏まえ、暫定支給決定を行います。
 一定期間、サービスを利用した後、再評価して個別支援計画を立てて本支給決定を行います。

受給者証=市区町村から発行される福祉サービスを利用することができる証明書

 自分が利用したいサービスの受給者証を申請して取得することで、様々な福祉サービスを公費負担で利用することができます。受給者証は種類によって申請や取得までの流れが異なる場合があります。受給者証には利用できるサービスの種類支給量(利用可能日数)、負担上限月額などが記載されています。

 障害者総合支援法の自立支援給付などの障害福祉サービスを利用した際の利用者負担は、原則として「1割」です。ただし、世帯ごとの前年の収入に応じて負担額の月額上限が定められているため、その金額以上の自己負担は生じないことになっています。生活保護を受けている世帯や市町村民税が非課税の世帯については、利用者負担はありません。

さいごに

 私は、始発のバスに乗って呉の施設に通っています。始発なのであまり人は乗っておらず、いつも同じような顔ぶれです。その中に途中のバス停から乗って来られる方がいらっしゃいます。リュックにヘルプマークをつけていらっしゃって、障害を持っていらっしゃる方のようです。

 障害のある人が自立して、自分の希望に沿った生き方をすることはとても大変なことですが、ほとんど毎日お仕事に通ってらっしゃいます。バスの運転手さんのすぐ後ろの席を私は彼の席と決めており、彼が乗る前に、誰かが座ってしまうと、なんだか悲しい気分になります。

 障害児にとって自立して、一人で生きていくのは大変です。せめて乗りやすく降りやすい席は乗車してくるかもしれない障害のある方のために空けておいてくださいね。

 次回は訓練等給付の居住支援についてお話させて下さい。

ではまた。 Byばぁばみちこ