第十一回 障害者総合支援法(4) 自立生活援助 (一人暮らし)

 障害者の方の中には集団生活ではなく一人暮らしを希望される場合もありますが、障害の程度によっては一人暮らしが難しいことがあります。この一人暮らしを希望する障害者を援助するサービスが「自立生活援助」です。このサービスは共同生活援助;グループホーム連載 続ばぁば道子コラム 第十回 障害者総合支援法(3)共同生活援助を参照下さい)とともに障害者が地域で生活するための大切な居住支援です。   

自立生活援助とは?

 「自立生活援助」は2018年の障害者総合支援法の改正によって創設された居住支援で、施設や病院、グループホームなどから出て一人暮らしを希望する障害者を支援するためのサービスです。
 一人暮らしを始めた方の自宅を定期的に訪問し、順調に一人暮らしができているかを把握し、困りごとの相談や助言、関係機関との連絡調整等の必要な援助を行います。
 また、定期的な訪問だけでなく、緊急に連絡を受けた場合に訪問し、必要があれば移動支援を行うなど柔軟に支援を行います。
 障害のある方が一人暮らしを行うために必要なことをサポートしつつ、できるだけ自分の力で解決し、少しずつ自立して一人暮らしができるように援助するのが自立生活援助のメリットと言えます。

自立生活援助の対象となる人

➀障害者施設やグループホーム、精神科病院などを出て地域で一人暮しを始めるのに不安がある人
②すでに一人暮らしをしていて、自立生活援助による支援が必要な人
③同居している家族の障害や病気、高齢化などにより支援が見込めない人
④定期的な巡回や連絡を受け情報提供、助言、援助が必要な人 などです。

自立生活援助サービスとその内容

 自立生活援助では、契約した事業所の地域生活支援員がほぼ週に1回以上、障害者の自宅を訪問します。令和6年度の厚生労働省の報酬改定で訪問回数が緩和され、直接の訪問だけでなく、テレビ電話等を活用しての援助を行うことも認められるようになりました。
 また、月に6回以上訪問し、集中的に支援を行った場合に「集中支援加算」が新設され、一人暮らしが困難でより多くの支援が必要な人に手厚いサービスが行われるようになりました。

自立生活援助で行われる具体的な支援としては

➀食事、洗濯、掃除などの生活環境が適切に保たれているか
②公共料金や家賃などの払い忘れはないか
③体調に変化はないか、病院に受診しているか、薬の飲み忘れはないか
④地域住民との関係がうまくいっているか、トラブルはないかどうか

など日常生活ついて必要なアドバイスや情報提供を行い、必要なであれば医療機関等との連絡調整や他の障害福祉サービを紹介します。

自立生活援助サービスの利用期間

 自立生活援助を利用するにはまず市町村の福祉課の窓口で相談します。自立生活援助のサービス利用期間は1年間で、利用期間を超えてさらにサービスが必要な場合は、市町村の審査会での個別審査の結果、必要と認められる場合には更新が認められます。

自立生活援助の図

自立生活援助の利用手続き

➀市区町村の障害福祉課などへの相談
居住地の市区町村役所または福祉事務所の障害福祉課への相談し説明を受けます。
②サービス等利用計画の作成
一人暮らしをするにあたって、自分が望んでいる生活をまとめた「サービス等利用計画案」を作ります。通常相談支援事業所の相談支援専門員が一緒に作成しますが、本人や家族が自分で作ってもかまいません。
③支給決定と受給者証の交付
計画案は市区町村で審査され問題がなければ支給が決定され、「障害福祉サービス受給者証」が交付されます。
④自立生活援助を提供している事業所と利用契約
援助を受けるのにどの事業所と契約をするかは自分で選ぶことができますので、見学を行ったりサービス内容を聞いたりして自分に合う事業所を選ぶことが大切です。
⑤事業所と利用契約を結び利用を開始

自立生活援助サービスを受けるのに必要な費用は?

 自立生活援助サービスを受けるのに必要な費用は2つに分かれています。また、自立生活援助サービス費事業所の利用者数や生活支援員の人数によってそれぞれ費用に差があります。
 施設や病院、グループホームなどから出て一人暮らしを始めたり、家族の死亡などで一人暮らしを始めたりした場合には、1年以内の方は自立生活援助サービス費(Ⅰ)、それ以外の人は自立生活援助サービス費(Ⅱ)で算定した費用が掛かります。
障害者福祉サービスでの費用は、原則として利用者が1割を負担し、残りの9割は市町村が負担します。世帯の所得に応じて負担の上限度が設定されており、所得が低い人は無料です。

自立生活援助の利用手続き、費用の図

地域で暮らすための切れ目のない支援=地域移行支援と地域定着支援

 障害のある人が施設や病院を退院して地域で暮らしを始めるためには、様々な手続きが必要で、手続きを一人で行っていくのには分かりにくい点も多く支援が必要となります。
 また、実際に生活を始めた後の生活では、予期せぬ事態や緊急の対応が必要な場面も起こり得ます。そのための支援が「地域移行支援」「地域定着支援」です。二つのサービスは、地域生活を支えるのが目的ですが、新しい生活の準備を支えるのが「地域移行支援」、そして新生活の継続を支えるのが「地域定着支援」で、支援の目的と内容が異なっています。

地域移行支援=新生活を始める際の不安を解消する支援

地域移行支援を利用できる対象者

障害者支援施設や精神科病院などに入所・入院中で、地域での生活へ移行するために支援が必要と認められた人が対象です。地域移行支には 区分認定は不要で、利用者負担はありません。
地域移行支援を利用できる期間は、原則6か月(必要に応じて最大1年まで延長可能)です。

具体的な支援内容

➀ 一人ひとりの希望や状況に合わせた具体的な支援計画を作成
②アパートやグループホームなどの新しい住まい探し、地域生活への相談
③新しい生活に慣れるため、買い物や、手続きなどの外出へ同行
④役所での手続き、日中に通う事業所の連絡・調整
⑤グループホームへの体験宿泊や、日中活動の体験利用

地域定着支援=移行後の安心を支える

 地域定着支援は、地域定着支援台帳を作成し、常時の携帯電話等による連絡体制を整え、24時間365日緊急時の対応を行う障害福祉サービスです。緊急時にいち早く訪問し、場合によっては一時滞在場所の確保など、安心としての役割が大きい支援です。
一人暮らしやグループホームなどから一人暮らしに移行した障害者、または家族と同居していても病気などで緊急時の支援が見込めない人を対象としています。
 地域定着支援を利用できる期間は、1年間(必要に応じて1年ごとに更新可能)です。

地域移行支援から地域定着支援への移行手順

➀「地域で暮らしたい」という思いを伝える
 本人が地域で暮らしたいと言う思いを入院している病院や施設のソーシャルワーカー、または市区町村の障害福祉課に相談。その後、地域の基幹相談支援センターをはじめ地域の相談支援事業所で手続きをすすめます。
②サービス等利用計画案の作成と利用申請
 相談支援専門員は本人の希望を聞きながら「サービス等利用計画案」を作成するとともに、市区町村へ「地域移行支援」のサービス利用を申請します。申請が認められ支給決定が下りと支援がスタートします。
③関係者が連携した「サービス担当者会議」
 支給決定後は、新生活に関わる関係者が集まり、地域で暮らすための準備を本格化させます。会議には病院のソーシャルワーカーなども参加し、退院後の生活で必要な配慮などを伝え、スムーズな移行を支えます。
④安心して暮らせる住まい探しと体験利用
 新生活の場所となるアパートやグループホームなどの候補を見学し、気に入った住まいが見つかれば体験利用(体験宿泊)を行い、事業者と正式に地域移行支援計画に基づく地域移行支援の利用契約を結びます。
⑤新生活スタート後も継続した支援体制
 地域での新生活が始まると、半年間を目安に、相談支援専門員が定期的に訪問や連絡を取り、困りごとがないかを確認していきます。生活が安定してきた段階で、「地域移行支援」から、地域で住み続けるための「地域定着支援」へと移ります
 これら2つの支援は無料です。

さいごに

 障害者が家族と離れて暮らす方法は、グループホームや入所施設だけではありません。
 アパートで一人暮らしをしたり、パートナーと住んだりなどの選択肢があります。そうした人達の生活を見守り援助するのが自立生活援助です。障害があっても自分らしく生きたいと言うのは、すべての人の願いです。
 一人暮らしを始めると、思いがけないトラブルがおこります。
「地域で暮らしたい」という想いを実現するためには、福祉専の門家とつながり、適切な福祉サービスを利用することが大切です。周りの力を頼ってください。

ではまた。 Byばぁばみちこ