第十三回 障害者総合支援法(6) 補装具

 補装具は義肢・装具・歩行器・車椅子・補聴器など障害のある人にとって身体の機能を補うために必要な用具を指します。歩くことを補助する杖や歩行器、移動のための車椅子など自立して生活を送るためには欠かすことができません。特に成長期にある子どもには発育に合った補装具が必要です。

補装具費支給制度

 補装具は、障害者総合支援法の補装具費支給制度に基づいて支給されます。
 障害者総合支援法が施行される以前は身体障害者福祉法に基づいて、補装具の交付や修理は現物給付の形で行われていました。
 2006年に障害者自立支援法(現在の障害者総合支援法)が施行され、利用者が自分に合った必要な補装具を選んで購入した後に費用を受け取る「補装具費支給制度」へ変わりました。
 この制度では、「補装具」の購入・借受け・修理に要する費用は市区町村が支給します。また、平成30年4月からは条件を満たせば、購入だけでなくレンタルも対象に加わりました。

補装具費支給制度の対象となる人

 身体障害者手帳を持っている身体障害(児)者または難病患者等のうち、身体障害者更生相談所等の判定または医師の意見書により補装具の必要性が認められた人で難病患者等は手帳がなくても対象となる場合があります。

補装具とは

補装具と福祉用具の違い

 補装具は、障害者総合支援法に基づいており、介護保険法に基づいてレンタルや購入費を支給する形で給付される「福祉用具」とは別制度です。通常65歳以上の人で車椅子・歩行器・歩行補助つえなどが必要になった場合には、介護保険の対象種目であれば、標準的な既製品の場合、原則として介護保険による福祉用具の貸与が優先されます。
 補装具が介護保険制度における福祉用具(既製品)と大きく異なる点は作成に専門的な知識や技術を要するため作成にあたっては、医師や義肢装具士などの専門職が関わっている点です。
個々の障害の状況によっては既製品でなく、より個人にあったオーダーメイドの個別の製作が必要な場合があり、その場合には介護保険の対象者であっても補装具費支給の対象となるなど給付調整が行われます。

補装具と福祉用具の違い

身体障害(児)者に対する主な補装具

 補装具費支給制度の対象となる補装具の種目は厚生労働省で定められおり、補装具の種目ごとに基準額(上限となる標準的価格)が定められていますが 、障害の内容によって、特殊な制作が必要な場合には、特例として基準額を超える製作が認められる場合もあります。
 また、こどもの場合は体の成長に伴って繰り返し作り替えることが必要な補装具が多くなります。

➀肢体不自由

義肢:腕や足の一部を失った場合にその代わりにつける補装具(義手・義足など)
装具:上肢・下肢・体幹を支え、姿勢を保ち機能や動きを補う用具(下肢装具・靴型装具など)
車椅子・電動車椅子:移動を確保する用具とその付属品
歩行器・歩行補助つえ:歩行を補助する用具(松葉づえ、カナディアン・ロフストランド等)
座位保持装置・姿勢保持装置:座位や姿勢を保つことによって呼吸や四肢の動きを改善

さらに成長期にある18歳未満の場合にはこれに加え、
座位保持椅子 座る姿勢が崩れないようにし、崩れても元に戻せるような機能を有する椅子
起立保持具  自力で立つ事が難しい場合に使われる用具、体や腰・足を固定し立つ姿勢を保つ
頭部保持具  座る椅子に装着して頭をしっかり起こせるような機能を持つ
排便補助具  普通のトイレでは排便が難しい場合に、排便がスムーズに行えるようにする

②視覚障害:

視覚を補う用具 視覚障害者安全つえ(白杖)、義眼、眼鏡(矯正・遮光・コンタクト)

③聴覚障害:

聴覚を補う用具 補聴器・人工内耳(音声信号処理装置の修理等)

➃音声言語機能障害

重度障害者用意思伝達装置:発話が困難な人のコミュニケーション支援機器

借受け(レンタル)制度

 補装具は購入が原則ですが、平成30年4月から次のような場合にはレンタルでも費用支給の対象となることが認められました。

  1. 身体の成長に伴い、短期間で交換が必要となる成長期の子ども
  2. 障害が進行し、補装具が短期間の利用しかされない場合
  3. 購入に前に複数の補装具を比較検討する必要がある場合

借受けの対象は、告示で定められたものに限られます。詳細は市区町村窓口で確認できます

補装具申請方法と必要書類

 補装具購入やレンタルの申請窓口は住んでいる市区町村の障害福祉担当窓口です。先に購入してしまうと、原則として支給対象外となりますのであらかじめ申請することが必要です。

補装具支援手続きの流れ

➀装具費支給の申請:自分が必要な補装具について主治医や補装具製作業者と相談し見積書を作成し、補装具費支給申請書など必要書類を揃えて障害福祉担当窓口へ申請を行ないます。

②市区町村による支給決定:必要な場合には身体障害者更生相談所等による判定が行われ、市区町村が支給の可否と補装具費の額が決まり支給が決定されます。

➂補装具製作業者と契約・製作

➃納品適合確認

⑤費用の支払いと補装具費の受給:補装具費の支払い方法には、主に2つがあります

償還払い方式
 利用者は補具の購入に要した全額を補装具事業者に支払い、その後に領収書などを提出し、市町村から費用が支給されます。
代理受領方式
 利用者は補装具の購入に要した費用のうち自己負担分を支払い、残額は補装具事業者が市区町村に請求します。

補装具費の自己負担と上限額

 補装具費用の自己負担は原則1割ですが、負担が重くなりすぎないように世帯の所得に応じた月額負担上限額が設けられており、補装具費の1割と上限額のいずれか低い方が自己負担となります。

所得制限の取扱い

 補装具は障害のある子ども達にとって生活していく上で欠かせないもので、成長に伴って何度も作り替える必要があります。
 令和6年4月1日に18歳未満の障害児の補装具費支給制度の所得制限が廃止され、保護者の所得にかかわらず、すべての18歳未満の障害児が補装具費の支給対象となりました(自己負担は原則1割、上限月額は従来とおり)。ただし、公費が認める補装具の基準額を超える装飾や特殊な機能追加などの超過分は全額自己負担となります。
 また、18歳以上の障害者は、本人を含む世帯員の中で市町村民税所得割の最多納税者が46万円以上の場合(年収約1,200万円以上が目安)は支給対象外となり、全額自己負担となります。
具体的な区分や運用は自治体によって違いがありますので申請前に確認することが必要です。

補装具の自己負担

2025年度の補装具費支給制度改正での変更点

「補装具費支給制度」は、2025年4月に大幅に改正され対象の物品などが大きく変わりました。
 この改正では、補装具を作成するうえで必要な「完成用部品」のリストが見直され、制度を利用している人や補装具を作成する業者に大きな影響が出ています。 
 そのため、今までと同じ補装具でも申請が通らないというケースがあり改正された制度の内容をしっかりと把握しておく必要があります。

補装具の申請や修理の際に確認しておくこと

➀業者や自治体窓口での事前確認

 自分の使用している補装具が支給の対象になるかどうか、特例で対応が可能なのかなどの情報や必要な部品が支給対象外となっていた場合の自己負担額も確認しておく必要があります。

②特例補装具費の対象かどうかの確認

 補装具の作成や修理に必要な部品が対象外となった場合でも障害の状況などによって「この部品でなければならない」というやむを得ない事情がある場合、更生相談所による判定を受け、特例補装具として支給対象として認められることがあります。

➂自治体毎で対応や内容が違う!

 自治体によって判断や対応が異なることも多いので、居住地の自治体の制度運用をしっかりと確認しておくことが重要です。
 居住地の障害福祉課や福祉事務所は、補装具費支給制度だけでなく障害福祉サービスや制度の一番身近な相談機関です。不安に思っていることや疑問があればぜひ相談してみてください。

広島市の補装具費の支給制度利用者負担助成制度

 利用者負担は、原則、所得に応じて国が定めた上限月額までの1割負担ですが、広島市では、市民税所得割が28万円未満の世帯について、上限月額を国が定めた額の1/4にする利用者負担助成制度を実施しています。この制度での世帯とは18歳未満の障害児の場合は世帯全員、18歳以上の障害者世帯は本人と配偶者を指しています。

広島市の利用者負担助成制度

さいごに

 障害者総合支援法で規定されている補装具は、「①障害のある人の体へフィットするように作られ、体の機能を補い代替をする ②日常生活や就労、就学のために長期間にわたり継続して体に着けて使用される ③医師等の専門的な意見や診断に基づき使用が必要とされる」ものとされています。補装具は日常生活に不可欠です。2025年度の改正によって今まで使用していた補装具で支給対象外となったものでも、特例補装具として支給対象になる場合もあります。各自治体で対応が違いますので、日常的に補装具が必要な方は事前に確認しておく方が安心だと思われます。

ではまた。 Byばぁばみちこ

補装具のまとめ

まとめ

補装具は障害者総合支援法に基づき支給される、義肢・装具・車椅子・補聴器・歩行器などの身体機能を補う用具です。市町村への申請と更生相談所等の判定を経て、原則1割(課税世帯は月額37,200円が上限、非課税・生保は0円)の自己負担で補装具費が支給されます。介護保険の福祉用具と重なる種目では原則として介護保険が優先されるため、要介護認定を受けている人は、まず福祉用具レンタルを検討したうえで、個別の製作が必要な場合に補装具の利用を相談するとよいでしょう。介護・福祉の現場で利用者を支える際は、この制度の違いを正しく理解しておくことが大切です。